ポメラ開発物語
文章を書くのに手書きは大変だし、
PCやスマホは誘惑が多い…
文章作成に没頭できる
紙とデジタルの
いいとこ取り!



執行役員 開発本部長 T.T.
ポメラ開発担当 執行役員 開発本部長 T.T.
新卒で入社した厨房機器メーカーで空調システムの制御開発に2年間従事後、1998年にキングジムに中途入社。モバイルプリンターやステッカーメーカーなど数多くの商品開発に携わり、入社から10年を迎えた2008年、自ら企画したデジタルメモ「ポメラ」がヒット。2014年より、グループ会社「ぼん家具」の代表取締役社長に就任し、EC事業の強化に取り組む。2018年にキングジム執行役員に就任、2025年より現職。
ポメラの着想は、「こんな商品、私が欲しい!」
私自身が「こんな商品が欲しい」と思ったことが、ポメラの着想の始まりでした。仕事で外出した先で、ちょっと文章を書きたいと思う時があります。でも、ノートパソコンは持ち運ぶのが重いし、起動の時間もかかる。もっと手軽に使えるツールが欲しかったのです。「電子辞書サイズで、すぐに起動できる、キーボード付きのメモ専用端末」。便利なツールになるに違いないと当時から確信していましたし、同じ気持ちのビジネスパーソンは世の中にたくさんいるはずだと考えていました。

前例のない「メモ専用端末」
ただ、開発に入るには「社内の理解を得る」という大きな課題がありました。「メモ専用端末」は前例のないコンセプトで、会議では「メモしかできないのに本当に需要があるのか?」という疑問の声も上がりました。具体的なイメージを持ってもらうため、まだ商品サンプルもない段階でしたが、本物そっくりのパンフレットを作成し、会議出席者に配りました。すると当時の社外取締役から「いくらでも出すから欲しい」と熱望する声があり、これが大きな後押しとなって、開発がスタートしました。
開発で最も重視したのは、「どこにでも持ち運べて、すぐに書けること」です。起動の速さ、軽量性、持ち運びやすさにこだわり、余計な機能を省いて“文章を書くこと”に特化しました。使い心地にもこだわって、キーボードの打ちやすさも大切にしました。
発売までには、製造パートナー探し、コスト調整、発表直前まで続いたソフトの調整など、ありとあらゆる困難に直面しましたが、私はむしろこうした状況になるほど燃える性格。エンジニアと共に解決策を探り、さまざまな可能性を模索しながら行動する。その過程に、開発本来の楽しさがあると感じます。

「ポメラがないと困る!」リアルタイムで受け取った熱い反響
発売当時の出来事で今でも忘れられないのが、商品発表会の光景です。予想以上に多くのメディアが来場し、文章入力に特化したコンセプトに高い関心があるのだと肌で感じました。インターネット上では発売直後から熱のこもったレビューが多数公開され、ネット掲示板に専用スレッドが立ち、ユーザー同士の意見が活発に交わされたことも印象に残っています。なかでも、記者やライター、小説家など文章を書くプロからの支持が厚く、次第に「ポメラがないと困る」という声まで届くほどに。そういった反響をリアルタイムで受け取り、製品が世の中に受け入れられる手応えを感じました。
発売から15年以上が経ちましたが、ポメラは現在も長く愛され続けています。もちろん私も、ヘビーユーザーのひとり。機能追加の際には、「余計なことはしない」という哲学を守り、ユーザーの期待に応える進化を続けています。


エピローグ
キングジムは、文具・事務用品メーカーという枠を超え、オフィスだけでなく、工場・倉庫・医療・教育など、さまざまな「働く現場」や「暮らし」に寄り添った商品・サービスを展開しています。働く人たちを快適に、安全に、災害から守ることはもちろん、生活においても学びや趣味、楽しさや彩りなど、幅広いシーンに対応することを目指しています。社会や人々の困りごとを自分ごととして捉え、仲間と連携しながら解決に挑める方を歓迎します。自ら企画した商品を世に送り出し、ヒットを生み出す喜びを、ぜひキングジムで味わってください。若手中心の明るく前向きな開発チームが、あなたの挑戦を心からお待ちしています!